俺は鏡を見ない。
見ない事はないか、鏡の中の顔は見ないのか。
見る必要もないからね。
髪の毛はほとんど坊主に近いし、
ブサイクだし、
しかし昨夜風呂上がりに鏡で顔を見てみたら、
驚愕・・・!
いやぁシミだらけ(T . T)
日焼けの後遺症か、
加齢によるものなのか、
そしてなにより驚いたのは、
自分の顔に年老いた父の顔を見つけたのよ。
正直言って、俺と親父とはあまり良い関係ではない。
幼い頃の家では祖父母と同居してたんだけれど、
父と祖父の関係が最悪で二人が会話してるところなんて一度たりとも見た事も聞いた事も無かった。
父は長男だから仕方なく面倒見てたんだと思う。
だけど一緒に旅行にも連れて行ってたし、
多分に母が間に立って色々と気遣いしてたんだろうなぁ。
そんな父子だった。
俺が思春期の頃だったろう、
男が好きである事を自分自身の中に感じていた頃、
俺は強烈に父からの愛情を欲していた。
父と祖父の全く相容れない関係を目にしていたからか、
俺の中にはどうやって父に近づいて良いか分からない。
父も俺には何も言ってこない。
そんなモヤモヤを感じながら、
塾の帰り父に車で迎えに来てもらい後部座席に座った俺はその感情がピークに達し、
「こんな父子関係はおかしい!」
と、
父に叫ぼうと思った、
感情を吐き出したかった・・が、
何も言えないまま家に着いてしまった。
それが最後かあんな感情になったのは。
それ以来はいわゆる同居人状態だった。
高校卒業と同時に家を離れたので、
父との関係もそれっきり。
理想とする父、
慕わしい父、
ではなかった俺にとって、
俺の姿に父を見つけてしまった自分は、
なんとも言えない感情になってしまった。
俺が大好きな夏井いつき先生の句が思い出される
湯冷めして
ぞっとするほど
父に似る
顔のシミもそうだが心もシミだらけだよ。