少し前の褌バーでのはなし。
その日は金曜日の割にはとてもスロー。
テレビや裸祭りのDVD見ながらちびりちびりと飲んでた。
ポツリポツリとお客さん増える、
褌は必須の日では無いけど、皆んな褌になってた。
やがてカウンターが軽くいっぱいになる頃、その子は来店した。
スッキリとしたいい男。
褌バーでの会話は、他の店の情報交換とかさら~と上辺だけの話しが多いが、酔いが回って来たのか、褌姿の開放感からか次第に饒舌になってた彼は、自分の体験などを語り始める。
高校生の時に副担任の先生に「レイプ」されたと。
その時まで男性はもちろん女性とも経験無かった彼は、出血した下半身をみて呆然としたとか。
こんな事はとても他人には言えない・・・
その副担任は間もなく転任して、関係は終わる。
しかし、この体験が引き金になったのか、急速に同性へ性的な感情が芽生え、自分がゲイである事を自覚する。
自分では抱えきれないこの感情、親に理解されなくてもいい、知ってもらわなければ自殺するかもしれないくらい思い詰めたらしい。
そして17才での親へのカミングアウト、親が受け入れてくれたかは話しの中では分からなかったけど、それで自殺は踏みとどまったと。
俺自身もその頃って同じ葛藤してたなぁと思い出した。
男が好きなんだけど、女を好きになるべきって思い。
毎朝雑誌の付録に付いてたトレーシー・ハイド(女優)のポスターにチューしてから、学校に行ってた。
女を好きになる感情が芽生えるんじゃないかと思って。
だけど、自分自身の性的嗜好に悩み自殺しようとか、誰かにカミングアウトしようとかは全く思わなかった。
曖昧にして前に進めない人
曖昧にしながら前に進む人
俺は曖昧にしながら生きてたし、生きてると思う。
バーで出会った彼は、俺よりずっと若いが、自分がゲイとして生涯生きて行く覚悟をすでに固めていた。
既婚で男好き、こんな俺に気概はあるのか・・・って思った夜だった。