俺が自分でも結婚するなんて考えて無かった20代の頃、新宿駅西口を徘徊していて知り合った男は既婚者だった。
新宿の松月でひと時を過ごし、タバコを吸いながら彼は呟いた、
「俺、結婚してるんだよね~」
言葉を失った・・・
結婚していながら、よくこんな事が出来るなぁと。
その後の俺の気持ち、
奥様に申し訳ない・・・
彼に騙された様な感覚・・・
もう二度と会えないと思った。
彼に嘘をつかれたと思ったんだね、
結婚した人がこんな事するわけないって勝手に想像してたから。
思えばGの人って、よほどカミングアウトした人でない限り、自分自身や周りに嘘をつき続ける人生だと思う。
どんなタイプの女の子がタイプ?
って聞かれたら適当に誤魔化し、
結婚を勧められたらそれなりの理由を並べてはぐらかす。
それがもう普通だから、嘘をついてる感覚すら無い。
既Gの方が始末が悪い、
変に普通の姿になってしまっているから、周りから見ればただの親父。
そう見られている事に甘えてしまっている。
絶対に既Gなんて名乗れないって思ってた、再デビューする前は。
しかし今の状況、俺がそういった環境を求めているせいか既Gがこんなに居る事を知り驚きしかない。
帰る場所がある既婚者は、相方関係以上に社会や世間から認知される夫婦と言う名の絆を背負っている。
Gバーで知らない客に言われた言葉は、
「既婚者って時点で、もう既に人のものなんですよ。」
俺には、大切なG友がいる。
彼は相方ありなんだけど、
相方以上に俺と会ってるそうだ。
彼は、絶対に嘘つかない。
相方さんと会うって言えば、正直に俺に話してくれるし、こんな事をしたよ〜なんて包み隠さず話してくれる。
逆に俺は、って言うと、
それだけ正直に彼に話せているかって言うと疑問。
嘘では無いが誤魔化してるところあると思う。
彼を傷つけたくないから?
変に詮索されたくないから?
相手への思いやりの様で、単なる自分のボロを出すのか怖いだけなんだよね。
こんな平気で嘘をつく人間だって、自己嫌悪に陥ってしまう時も多々ある。
独Gで既Gを嫌っている人は少なくない事もわかる。
信用出来ない人間・・・
俺自身も嫌いなんだから。